About this Project

 曼荼羅や系統樹など、古来から人は図像=ダイアグラムを描き、複雑な関係性を視覚化し、様々な知とその概念を他者と共有してきました。現代においてもプレゼン資料などにおいて、工程や組織や人の役割分担などが描かれた様々なダイアグラムが作られています。近年は情報技術の発達により、あらゆる人が作り、公開できるようになりました。しかし、多くの人が「私には絵心がない」と言って描くことをためらいます。自信を持ってデザインできないことはとても辛いことです。意図の理解が困難なダイアグラムが多いことは否定できません。

 デザインを学び探求する私たちは、この状況を解決したいと考えています。しかし、ひとつひとつのデザインを私たちがリ・デザインすることは困難です。私たちはダイアグラムを作ろうとしている当事者の人たち自身が、自分たちの手で納得するダイアグラムを作り出すための方法や道具をデザインしたいと考えています。当事者がデザインすることではじめて、持続可能で漸進的成長が可能なデザインが実現できるからです。

 特に、行政機関では、ポンチ絵と呼ばれる政策の視覚化や、研究者による研究計画や研究内容の視覚化はこのようなダイアグラムの制作に大きな課題を持っています。

ここで視覚化される情報は、一見すると難解で多くの人の関心や共感を生み出しにくいものですが、社会が共有すべき大切な情報です。しかし、これらを最適なダイアグラムとしてデザインするクリエイターが組織内におらず、制作時間のコストや視覚伝達の質に課題を抱えたままになっています。

 デザイナーは時に、シンプルにすることで美しくさせます。抽象度を上げたり、情報の優先順位を元にデザインすることは確かに有効ですが、果たしてダイアグラムにそれをしたところで効果的なのでしょうか。デザイナーが作る整理されてシンプルな図像よりも、当事者の人たちが描いたダイアグラムの方が、たとえ、文字や色の使い方が不安定であっても、そこに意志があり、”生き生きとしている:alive”と感じられるダイアグラムがあります。

 私たちは、そのようなダイアグラムをデータベースとして掲載しています。これは、これは悪例集でもなければ、参考事例集でもありません。また、揶揄をしたり、上から目線でデザインの改善案を述べるつもりはありません。

私たちは、様々な人たちが描き、創造してきたダイアグラムを収集、整理し、そこから表現の共通性や表現の兆しを見つけた上で、基準寸法や、デザインパターンを設計し、フォーマットとして公開しています。また、ダイアグラムを作るためのワークショッププログラムやツールなどの開発も進めて参ります。

そして、このような取り組みを通して、課題の解決に当たる当事者自身が持続的にデザインし続けるための方法、つまり当事者デザインの方法論的枠組みの開発を目指していきたいと考えています。

本プロジェクトは東海大学 富田研究室のメンバーが中心となって運営されていますが、様々な方と協働して進めたいと思っております。

 富田 誠 + 富田研究室
/東海大学